眠れなくなる宇宙のはなし(佐藤 勝彦著)を読みました.
この本では人類の歴史上の宇宙観について,古代インドの捉え方や,宇宙をめぐる宗教裁判,相対性理論,そして最新の動向であるブレーン宇宙論までまとめてあります.
また,それ以外にもアインシュタインなどの学者についての教科書には載ってないような小話が書かれており,非常に楽しく読むことができました.
一部を抜粋して掲載したいと思います.
p.114
宇宙は永遠のものであると唱えたアリストテレスに対してのアクィナス
「宇宙に始まりがあるというのは,信じるべきことであって,論証すべきものではないのだ」と主張したのです.人間の理性には限界があり,宇宙の始まりの問題はその限界を超えたものなので,これは議論しても始まらない,ただ聖書を信じていればいいのだ,というわけです.
p.121
アリスタルコスが唱えていた地動説を再発見したコペルニクスについて
コペルニクスは神に逆らって地動説を唱えたわけでもありません.むしろ神様を信じ,宇宙を「偉大な創造者の荘厳な作品」だと信じていました.その上で,「神がお造りになった美しい宇宙の姿にふわさしいのは,天動説よりも地動説なんだ」と確信したんですね.
p.221
宇宙の歴史を説明するビッグバン宇宙論を完璧にする理論について
私たち人間はニュートン力学を手にすることで,太陽系の天体の動きを説明し,未知の惑星の存在を予言することにも成功しました.さらに二十世紀には,ニュートン力学を乗り越える相対性理論を得て,宇宙がミクロンの卵から膨張してきたという宇宙の歴史を描けるようになったのです.そして,宇宙誕生の謎に迫るためには,相対性理論さえ乗り越える究極の理論が必要なのです.
まさにタイトルに 偽りなしですね!
楽しく読むことができました.