2009年12月25日金曜日

決断力

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決断力(羽生 善治著)

この本では棋士の羽生善治氏が決断力と題して,いかにビジネスや研究,勝負事において決断をするかについて記している.

感銘を受けた部分をいくつか紹介したい.

p.39 将棋をする上でなぜ新しい手を指すかについて
未知の世界に踏み込み,自力で考え,新しいルートを探し求める気迫こそ,未来を切り開く力になると私は考えている.

p.57 考える力について
私は,将棋を通して,そういう人間の本質に迫ることができればいいな,と思っている.

p.73 新しい手を指す際のリスクについて
私は,積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると,いつも自分に言い聞かせている.

p.131 新しいアイデアを発想することについて
自分で手を動かすことが知識に血肉を通わせることになる.

p.155 学びのプロセスについて
遠回りをすると目標に到達するのに時間はかかるだろうが,歩みの過程で思わぬ発見や出会いがあったりする.

p. 157 プロジェクトを組む,研究会に参加するということに関して
基本は,自分の力で一から考え,自分で結論を出す.それが必要不可欠であり,前に進む力もそこからしか生まれないと,私は考えている.
(誤解のないように言っておくが,この前の文章で「何人かの人と共同で検討すると,理解の度合いが二倍というよりも,二乗,三乗と早く進んでいくのは確かだ.」と述べている.)

p.165 コンピュータ将棋について
たとえコンピュータが必勝法を見つけ出したとしても,それを人間が理解することはできないだろう.

p.168 才能について
才能とは,同じ情熱,気力,モチベーションを持続することである.

p.169 頭のよさについて
たくさんの知識を活用できる,記憶力がいい,計算が速くできる,機転がきく…なども頭がいいといえよう.私は,ロジカルに考えて判断を積み上げる力も必要であると思うが,見切りをつけ,捨てることを決断する力も大事だと思っている.



将棋の世界は一般社会的に生きる人から見ると特異な世界と言える.しかし,この本を読む中で,私は,棋士が将棋を指す中で行う情報の取捨と次の一手の選択を行う上で必要な決断力は,一般社会に生きる人でも多いに参考にする箇所があると思った.