素人のように考え、玄人として実行する(金出 武雄 著)
先日京都大学で開催されたマイクロソフトリサーチ主催の21世紀コンピューティングコンファレンスにて,カーネギーメロン大学の金出先生の発表を聴講しました.
なにより感じたのは「楽しそうに研究している」ということでした.
金出先生が,研究に対してどのような哲学を持ち,取り組んでおられるか興味があり,この本を手に取りました.
参考になった箇所をいくつか抜粋したいと思います.
p.34 問題の発見方法について
A・ニューウェル教授は,学生たちに熱っぽく語るのが常であった.「そういう問題の一つ一つが『解いてくれ,解いてくれ』と,恋人を待っているようにわれわれ研究者を待っているのだ」と.
p.43 玄人としての実行方法について
プロとしていい仕事ができるか,できないか,アイデアを完成できるかどうかの分かれ道は,捨てて買える決断力,勇気があるかであろう.
p.82 研究が難航した時に
できるやつほど迷うものだ
p.180 異なるジャンルの人と触れ合う必要があるという文にて
世の中には,自分よりはるかに優れている人,自分のしらないことを知っている人,自分が思いもしないことを考えている人がいくらでもあり,驚かされる.
p.270 プレゼンについて
プレゼン資料は一目で内容がわからないように作る(略)
それだけで何を言いたいのかがわかると,聴衆は勝手なことを考え始める.(略)
それだけでは何を言いたいのかわからないが,講演者の説明とあわせると初めて,言いたいことがちょうどぴったりわかるように設計すべきである.(略)
すると聴衆は,何だろうかと思うから講演者の言う事を聞き始める.そして,講演者は聴衆の考えることをコントロールできるのである.
p.295 日本独自の~~というものについて
世界で売れている自動車や電気製品は「日の丸自動車」とか「日本人だからできたウォークマン」とは言わない.言う必要がないからである.
「素人のように考え、玄人として実行する」ということの何と難しいことか….ただ,これから心がけていきたいと思います.